いい旅いい酒いい肴、お預けの2020夏

 会食を伴う不要不急の首都圏への往来が、新型コロナウイルスの感染を全国に拡大させている。最悪のタイミングとも言える状況で、国内旅行を対象に「Go To トラベルキャンペーン」が、7月22日(水曜日)からスタートする。

 「Go To トラベルキャンペーン」は、2万円を上限に日帰り及び宿泊旅行代金の2分の1相当額を支援するもので、初孫♀7歳、2孫♀6歳、3孫♂6歳、4孫♂4歳と4人の孫たちに、記憶に残る夏休み旅行に連れて行ってあげたいと考えていた筆者には、渡りに船のキャンペーンなのだが、今回は乗らないことにした。

 筆者の故郷は、いつ感染者が出てもおかしくない状況と言いながら、いまだ1人の感染者も出してない岩手県である。墓参りもあるし、観光客の激減で苦しむ故郷の旅行業界を応援したい気持ちもあるが、感染第1号になってはお墓に眠る両親と高齢の親戚筋に顔向けができない。

 首都圏では市中感染が広まりつつあり、いつどこで感染してもおかしくない状況となっている。旅行先がどこであれ、3世代家族旅行の楽しみである「いい旅いい酒いい肴」を満喫しようと思えば、結果として新型コロナウイルスをばらまいてしまう可能性がある。

 初老夫婦2人。長女家族4人。次女家族4人。3家族合わせて10人の夏休み旅行は、孫が喜びそうな場所だとか、観光スポットだとかは二の次で、大前提として賑やかに食事をしても、気を遣わない宿の確保が必要となってくる。

 宿が決まったところで、3家族別々に話し合い、立ち寄る観光スポットを決め、ご当地グルメを決める。往路復路とも家族単位でクルマ移動し、3家族10人が顔を合わせるのは、宿での夕食と朝食の時だけで、現地集合現地解散が基本だ。3世代がそれぞれに楽しめる観光スポットなどないからである。

 ちなみに、2019年の夏休み旅行では、茨城と福島の県境にある観光旅館に宿を予約。長女家族は東北道を北上し磐越道沿いの観光スポットを巡り、次女家族は茨城の海岸線を下道で回り、初老夫婦は常磐道に乗っていわきまで行ってから戻るルートで宿へ。三者三様三方向に分かれて夏休み旅行を楽しんでいる。

 2020年は3家族で夏休みを調整できれば、墓参りを兼ねて故郷岩手の安比高原に宿を取り、三陸方面、十和田方面、田沢湖方面と三手に分かれて、みちのく家族旅を堪能するつもりでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、計画そのものがご破算になってしまった。

 地酒片手に肴で舌鼓。温泉卓球で汗を流し、カラオケで盛り上がる。そんな家族旅行を楽しむためには、新型コロナワクチンの開発と実用化を待つしかない。それまで長生きできるかな。

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Nakamura Mitsuo

 地方銀行融資係、株式情報誌記者を経て、フリーライターへ転身。ミレニアム2000年に池田書店から出版された『図解見てわかる株式入門』の著者及び監修を務め、株式投資関連の書籍を多数出版。現在は、利根川リバーサイドにて半隠遁生活を送りながら、既存の投資理論では説明できないアノマリー(規則的株価変動)を研究中。