株式市場には、「衆院解散総選挙(前)は買い」「巨人の大型連敗は日経平均株価を押し上げる」という経験則がある。数字選択式宝くじLOTOでは、「小数の法則」「選考の逆転現象」が思わぬ幸運をもたらすことがあり、競馬においても、「青葉賞組は日本ダービーに勝てない」「武豊は朝日杯FSに勝てない」などのジンクスがある。
合理的に説明することができないのに、軽視することができない規則的な動きや経験則をアノマリー(Anomaly)と言う。withコロナの2020年ペナントシリーズの出だしで躓いてしまった阪神タイガースは、巨人と並ぶ人気球団であるにもかかわらず、1950年からはじまった日本シリーズ出場はわずか6回、日本一に至っては1度しかない。
滅多に優勝しない阪神タイガースだが、「リーグ優勝した年の株式市場は、年間を通して大幅上昇する」というデータがある。この経験則を「猛虎株高アノマリー」と、(私は)呼んでいる。
<売り方が恐れおののく?猛虎株高アノマリー>
1985年 吉田義男監督 74勝49敗7分 勝率.602
日経平均始値11,558,06 → 終値13,113,32 △12.50%
2003年 星野仙一監督 87勝51敗2分 勝率.630
日経平均始値8,713.33 → 終値10,676.64 △22.53%
2005年 岡田彰布監督 87勝54敗5分 勝率.617
日経平均始値11,517.75 → 終値16,111.43 △39.88%
合理的に説明できない規則的な経験則
スカートの丈が、長くなるほどに景気は悪くなっていき、逆に短くなるほど景気は良くなる、という経験則がある。データとして株価変動、景気動向を確認できたとしても、それを合理的に説明することはできない。
しかし、規則的な動きを繰り返しているとすれば、それを株式投資をはじめとする経済行動に利用しない手はないはずだ。合理的に説明できないものの、経験的に観測できる規則的な動きをアノマリー(Anomaly)と言う。
継続的かつ時系列で観察する定点(定時)観測することで見えてくるアノマリーは、傾向やトレンドを把握するだけでなく、近い将来に起こりえることを予測することも可能だ。
昭和2年(1927年)は昭和金融恐慌、平成2年(1990年)はバブル崩壊。新元号2年目の経済情勢を定点観測すれば、令和2年(2020年)に不吉なことが起こるかもしれないと、警戒感を働かせることはできたはずである。
「想定外」を言い訳にできない予測不可能な時代。アノマリーの定点観測を転ばぬ先の杖として、老け盛りの58歳は、ブログで発信しながらしぶとく生き残っていくことをここに宣言する。
アノマリー(anomaly)を解説した人:中村光夫
地方銀行融資担当、株式情報誌記者を経て、フリーライターへ転身。ミレニアム2000年に池田書店から出版された『図解見てわかる株式入門』の著者及び監修を務め、株式投資関連の書籍を多数出版。既存の投資理論では説明できないアノマリー(規則的株価変動)を研究している。
【主な著書】
図解見てわかる株式入門 2000年 池田書店
株勝ち続けている人たちの儲かるしくみ 2004年 日本実業出版
勝ち組ネットトレーダー 投資の裏技 2005年 実業之日本社
株はアノマリー投資で儲けろ 2005年 中経出版
信用取引ハイリターン投資術 2006年 実業之日本社
足の爪は切らずに削りなさい 2015年 東邦出版