木の耳と書いて、キクラゲと読むキノコ。中華料理でお馴染みの食材だ。筆者が生まれ、8歳まで育った岩手県の八幡平では、初夏から初秋にかけてブナ林の風倒木で、キクラゲを見かけたような記憶がある。
ナイフで切り取っていた記憶があり、天然のキクラゲだと思い込んでいる。しかし、八幡平で過ごしたのは小学校2年生まで。水で戻した乾燥キクラゲを父親の思い出と都合良く重ねて、記憶しているだけなのかもしれない。
あやふやな記憶については、ご容赦願うとして、11年前に亡くなった父は、春は山菜採り、初夏からはイワナ釣りにキノコ狩り、秋が深まれば狩猟、冬場はスキーと、八幡平を庭にして育ったような人だった。リュックサックいっぱいに採ってきた山の恵みで作ったキノコ汁の味は、いまでも忘れられない。
父親の仕事の関係で八幡平を離れ、静岡に住むようになってからキクラゲとは疎遠になった。10年の時が流れ、学生時代に食べた五目うま煮そばのキクラゲの食感によって記憶を呼び戻された。それから40年、年に何度か、中華料理店のメニューを通じてキクラゲをいただいてきた。
キクラゲの食物繊維は、ゴボウの3倍と豊富で、水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維の両方が含まれているという。水で溶ける水溶性の食物繊維は、糖質の吸収をゆるやかしに、血糖値の上昇を抑える効果が期待できる。
水に溶けにくい不溶性の食物繊維については、噛み応えのある食感によってお腹が空きにくくなり、水分を吸収したキクラゲが腸の中で膨らむことで、腸の状態を整える作用も見込める。
楽に体重を落とせることはなかったおからパウダー。2ヶ月食べ続けたら体重が増加してしまったもち麦。3ヶ月間ただ飲んだだけで終わった甘酒。ダイエット効果があると聞いた食材は、積極的に試してきたが、クチコミ通りの効果を得られるものはなかった。
70キロ台の体重と付き合うこと十数年。身長163㎝から100を引いた63プラス2の65キロは、故郷の八幡平と同じで遠きにありて思うものと割り切って、メタボリックシンドロームと付き合っていくWithメタボの道を模索している。
メタボ解消に消耗するのではなく、メタボと付き合って健康増進を図っていく。そのコンセプトに沿った食材としてキクラゲに注目している。出先で昼食を取る機会があれば、中華料理店ののれんをくぐって、キクラゲ入り五目うま煮そばか、味噌ラーメンを注文。
家庭では、中華風卵炒めやスープにキクラゲを入れるようにして、キクラゲの食物繊維を余すことなく摂取したい。キクラゲには、骨と歯を形成し、丈夫にするビタミンD、カルシウム、マグネシウムのほか、髪や爪などの細胞の再生を促し、老化進行の一因とされる過酸化脂質を分解するビタミンB2などな栄養素が含まれている。
50歳を過ぎて減少する一方の骨量。歯は抜けて、髪の毛は薄くなり、年齢以上に老けて見えてしまうWithメタボの中高年としては、キクラゲはダイエットにつながらなくても、頻繁に摂取することで健康増進を図ることができる食材と位置づけることができる。
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