桃から生まれた桃太郎が、犬、猿、キジをお供に鬼退治に行く『桃太郎』。2人の娘を寝かしつける際の十八番にしてきた昔話であるが、4人の孫の寝かしつけでは、YouTubeの動画に取って代わられ、出番は1度もなかった。
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スピリチュアルに傾倒しているわけではないが、桃には、邪気を祓う力があり、戦国時代の大名は城の中に桃を植えていたという話もあるほどだ。旬を迎えた桃をせっせと食してタネ(種子を保護する桃核)を残して、集めたタネは天日干しして、表鬼門の北東、裏鬼門の南西に置いている。
孫から「これ、なーに?」と言われた際には、「桃から生まれた桃タネーッ!」の決め台詞。娘たちからは「孫にもやってるわ」と呆れられているが、新型コロナウイルスに振り回されてきた2020年、7月の4連休で今シーズン最初の桃をいただいた。
品種によって異なるのかもしれないが、食べ終わったタネの実をそぎ落とす時に、簡単にタネが割れてしまうことがある。ジューシーな実を味わうことより、立派なタネを確保することが目的なので、タネが割れてしまった時の喪失感は半端ないものがある。
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魔除けとして鬼門に置くタネは、筆者と配偶者それぞれ1個で合わせて2個。鬼門は表裏あるので合計4個となるが、ワンシーズンでいただく桃は、倍の8個は軽く超える個数となる。店頭で桃を選ぶ際には、タネが丈夫そうなモノを選ぶようにしている。
確保したタネは、約1週間かけて天日で乾燥させる。クルミのような桃核の形状と赤味は、神秘の力が宿っているように見えるから不思議だ。鬼門に1年間置いたタネは黒みがかり、まるで邪気を溜め込んでいるかのように見える。
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桃のタネは、縄文時代前期〜弥生〜古墳時代の遺跡から、土器や骨角器などとともに出土している。当時の人々が執り行った祭事や何らかの儀式に使われていたことは想像に難くない。平安時代中期に編纂された『延喜式』には、タネが薬として用いられていたと、記述されているようである。
平安時代の桃の実は、現在の桃のように甘くてジューシーだったのか。それは分からないが、タネを包む桃核の固さは今も昔も変わらないのだから、邪気を祓う力が宿っていておかしくないと考えている。
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